Webマーケティングの普及によって複雑さを増す昨今のビジネスにおいては、KPIを用いて正確に業績を可視化することが、企業の目標達成につながります。
KPI(重要業績評価指標)とは、業績を判断するためのさまざまな指標の総称です。
このページでは、「一つの注文にかかった費用」を示すKPIの『CPO(Cost Per Order)』について解説します。
CPOで費用を可視化し損失を防ぐ!4つのポイントを紹介
どのような商品を販売するにしても、その商品を宣伝するための広告や営業活動などに費用が発生します。
商品を販売して得られた利益よりも、宣伝にかかった費用が多ければ赤字となり、積み重なれば事業に大きな影響を与えます。事業を成功に導くためには、常に発生した費用が利益を上回らない様に管理することが重要です。
CPOは、一つの注文に対してかかった費用を指すKPIの一種です。商品の販売にかかった費用を可視化することで、広告や営業活動の見直しにつなげられます。
この章では、CPOの算出方法や目標設定などの4つのポイントについて解説します。
①CPOの算出方法
CPOの数値は、商品の広告にかかった費用を、注文を受けた数で割って算出します。
仮に商品の宣伝に1万円の費用がかかり、1件しか注文が入らなかった場合のCPOは、[1万円÷1件=1万円]となります。この際に、商品の価格がCPOを下回っていれば、販売にかかったコストを回収できず、赤字が発生します。
また、CPOが高いことは、それだけ1つの注文にかかる費用負担が大きいことを表します。費用対効果を高くするためには、このCPOの数値を下げることが重要です。
②成果を出せば出す程にCPOは低くなる
CPOの数値は、注文数を増やすことで下がります。
注文数が多くCPOの値が低い事業は、少ない費用でも多くの成果を期待できる、費用対効果の高い状態にあるとの判断ができます。
とはいえ、CPOの値が低くても利益になるとは限りません。例えば、商品の値段が極端に低い時は、注文数が増えてCPOの値が下がっても、商品の値段がCPO未満であれば損失を被る可能性があります。
これは、いわゆる「薄利多売」な事業の運営が難しいとされる理由の一つです。どれだけ多くの注文が入っても、営業や広告などにかかった費用を回収できなければ、赤字になってしまいます。
③定期購入に繋げられればCPOが高くても損失は補える
前述の通り、CPOの値が商品の値段を上回ってしまうと赤字が発生します。
ただし、顧客が商品を繰り返し購入してくれるようになれば、最初の取引で赤字が出ても損失を取り戻せる可能性があります。
例えば、顧客が定期的に料金を支払うサブスクリプションは、初期段階での赤字を許容する事業といえます。
サブスクリプションでは、最初の注文で顧客が支払う料金は、顧客に提供される商品・サービスの価格に比べて低く設定されています。そのため、最初の取引ではCPOの値は高くなり、赤字であることが殆どです。
ところが、長期間の契約によって定額料金を支払ってもらえれば、最終的には黒字化することが可能です。
④CPOに基づいて事業の目標や方針を決める
1つの商品・サービスの提供にかかる費用を増やせば、それだけ多くの注文が見込めます。
しかし、費用をかけ過ぎると、注文が増えたとしても販売にかかったコストのほうが上回り、結果として赤字になる可能性があります。
赤字を防ぐためには、CPOに基づいた事業計画を立てることが重要です。
この章では、販売に充てられるコストの限界値を可視化する「限界CPO」について解説します。
限界CPO|許容できるコストの上限を可視化する
一つの商品・サービスを提供する際に、赤字が出ない範囲で充てられるコストの限界値を「限界CPO」と呼びます。
限界CPOは、事業方針を見直す際の判断材料になる重要な指標です。
例えば、成果が芳しくない事業では、限界CPOの範囲内で費用を調整して、再度黒字化を目指します。
この限界CPOは、新しい顧客の年間平均顧客生涯価値から、広告費以外の費用(年間)を総顧客数で割った数を引くことで算出できます。
この計算で使われる顧客生涯価値のことを「LTV」と呼びます。
LTV|顧客が一つの取引全体で与えてくれる利益
LTVとはLife Time Valueの略称で、顧客生涯価値を意味します。
顧客生涯価値とは、取引開始から終了するまでの期間で、顧客から獲得できた利益を表す指標です。
LTVの算出方法は以下の2つがあります。
- 平均購入単価×粗利率×平均購入頻度×平均継続期間
- 平均購入単価÷解約率
1つ目の式は、一般的な事業でのLTVの算出方法です。
2つ目の式はサブスクリプションのような、継続して取引を行うことが前提とされている事業での算出方法です。LTVを算出する際は、自社の事業に適した方法を選びましょう。
CPOに関連した2つの指標を使って詳細な分析を行う
業績の分析に用いられる指標は、CPO以外にもさまざまなものがあります。
CPOに近い意味を持つKPIには、「CPR」「CPA」が挙げられます。
ここでは、CPRとCPAについて解説します。
①CPR|体験版の費用対効果を示す
CPRはCost per Responseの略称で、無料サンプルやお試しセットのような、いわゆる「試供品」が1つ注文されるのにかかった費用を表す指標です。
CPRの数値は、商品の注文にかかった広告費を、試供品の注文数で割って算出します。サプリメントや化粧品などの商材を取り扱う場合、試供品が用意されていることが一般的です。
試供品の費用対効果を可視化するCPRと、CPOを合わせて確認することで、「試供品の存在が商品の売上にどの程度貢献しているか」といったことを判断できるようになります。
②CPA|注文以外を成果とする場合に用いられる
CPAはCost per acquisitionの略称で、新規顧客を1人獲得するのにかかった費用を表す指標です。CPAの数値は、商品の販売にかかった広告費を、コンバージョン数で割って算出します。
コンバージョンとは、商品の注文だけでなく、資料請求や問合せなど、個々の事業が目的として設定している、さまざまな顧客の行動を指す言葉です。
CPOとCPAは混同されることもありますが、その内容は「注文数」と「コンバージョン数」の違いがあり、それぞれ異なる意味を持っています。
まとめ
このページではCPOの重要性について解説しました。
Webマーケティングの普及により、商品販売において広告が占める費用は今後さらに増すことが予想されます。CPOやそれに関連する指標は、広告の費用対効果を把握して、利益を出すための重要な判断材料です。
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